動脈硬化症とは、主に手足、特に下肢の血管が動脈硬化によって硬く細くなって狭くなったり詰まったりすることで、血液の流れが悪くなり血行障害が起こり、手先や足先へ栄養や酸素が十分に届かなくなる病気です。
最初のうちは、手足がしびれたり青白くなって冷たくなったりする程度ですが、病気が進行すると少し歩いただけで足、特にふくらはぎが痛むようになります。やがて安静にしていても足が痛むようになり、深爪なども治りにくくなってきます。
さらに症状がひどくなると、ちょっとした傷が原因で足先やくるぶしに潰瘍ができ、壊死することも多くなり、脳血管障害 (脳梗塞,脳出血など) ,心血管障害 (狭心症や心筋梗塞など) の原因になるとも言われています。60歳以上、特に70歳以上の男性が発症しやすく、喫煙が大きなリスクとされています。糖尿病や高血圧なども発症の原因となることがあります。
当院では血管年齢検査(CAVI [キャビィ] 検査)を行っております。具体的には、あお向けに寝た状態で両腕・両足首の血圧と脈波を測定します。時間は5分程度で、血圧測定や心電図検査と同じ感覚でできる簡単な検査です。当院では予約なしで行え、結果もすぐにお話しいたします。 この検査では、つぎの3つを測定します。
1.血管の硬さ(CAVI)
動脈は血液を全身に送るポンプの役目を果たしています。ポンプの内側の圧力(すなわち血圧)が変化したときのふくらみ具合をみることによって、ポンプのしなやかさ、つまり動脈のかたさがわかるというものです。動脈硬化症が進んでいるほど、「CAVI」の値は高くなり、9.0を超えると約半数のかたの脳動脈か心臓の動脈である冠動脈に動脈硬化症をきたしているという研究結果もあります。
2.血管の詰り(ABI)
足首の血圧を横になった状態で測定すると、健康な人では腕の血圧と同じくらい、あるいは少し高い値となります。しかし足の動脈が詰まっていると、腕の血圧に比べて足首の血圧は低くなります。そのため「腕の血圧」と「足首の血圧」の比をみて足の動脈の詰まりを診断するというもので、その値が0.9未満であると詰まっている可能性が高く、その値が低いほど重症になります。 血管の詰ったときの症状としては主に歩行時の「足の痛み」としてあらわれることが多いといわれています。
3.血管年齢
「CAVI」の数値は年齢とともに上がっていきます。同じ性別、同年齢の健康な方の「CAVI」平均値と比べることで、何歳の方の血管の硬さと同じくらいであるか、いわゆる「血管年齢」としてあらわすことができます。ですから、「CAVI」が9.0未満であっても「血管年齢」の高い方は動脈硬化症の進行が早いと考えられることになります。
症状の程度に合わせて治療法が異なります。
➀手足の冷たさやしびれを感じる程度の初期段階
病気の進行を遅らせるために、タバコを吸う習慣があるなら禁煙をすることを前提として、経過観察を行います。また、「歩く」ことを中心とした運動療法も検討します。
➁歩くと足に痛みやしびれを生じ、休むとまた歩けるようになる症状が見られる段階
同じく禁煙をした上で、血液をサラサラにするための薬などを用いた薬物療法や運動療法、生活習慣の改善を行います。
上記で改善しない場合は、動脈硬化が起こっている場所などに応じて、局所麻酔をしてカテーテルによって狭くなった動脈を広げる血管内治療や、全身麻酔をした上で硬くなった血管の内膜を取り除く内膜摘除術、人工血管や静脈を用いたバイパス手術といった血行再建術が必要なこともあるため、自治医大、赤十字病院、さいたま市民医療センターなどの総合病院と連携を取っております。
のなか内科 院長 野中 雅也
のなか内科は、埼玉県さいたま市大宮区(旧大宮市)に野中医院として開院し、野中病院を経て今年で78年目となります。今後もさいたま市や大宮区の地域医療を担っていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
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