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甲状腺の病気について
甲状腺とは?
甲状腺は、のどぼとけの下にある蝶(ちょう)のような形をした小さな臓器です。「甲状腺ホルモン」を分泌し、体の新陳代謝(エネルギーの使い方)を調整する重要な役割を担っています。
2つの病気の比較
| 甲状腺機能亢進症 | 甲状腺機能低下症 |
| ・ ホルモンが多すぎる状態 | ・ ホルモンが少なすぎる状態 |
| ・ 代謝が活発になりすぎる | ・ 代謝が低下する |
| ・ バセドウ病が代表的 | ・ 橋本病が代表的 |
甲状腺機能亢進症
主な症状
| こんな症状がある方は要注意 |
| ・ 動悸がする・心拍数が増える |
| ・ 体重が減る(食欲はあるのに) |
| ・ 手や指が震える |
| ・ 汗をよくかく・暑さに敏感になる |
| ・ イライラする・落ち着かない |
| ・ 疲れやすい・筋力が低下する |
| ・ 眼が出てくる(バセドウ病の場合) |
| ・ 首が腫れる(甲状腺が大きくなる) |
原因
最も多い原因は「バセドウ病」(自己免疫疾患)です。免疫の異常により、甲状腺が過剰に刺激されホルモンが作られすぎます。その他、甲状腺腫瘍や炎症が原因になることもあります。
治療法
薬物療法:抗甲状腺薬(薬物療法)
放射線療法:放射性ヨード治療(ヨード131内用療法)
手術療法:手術(甲状腺の一部または全部を切除)
甲状腺機能低下症
主な症状
| こんな症状がある方は要注意 |
| ・ 疲れやすい・倦怠感が強い |
| ・ 体重が増える(食欲がないのに) |
| ・ 寒さに弱くなる・冷え性 |
| ・ 皮膚や髪がパサパサになる |
| ・ むくみやすくなる(特に顔・まぶた) |
| ・ 便秘がちになる |
| ・ 物覚えが悪くなる・集中力が低下する |
| ・ 声がしわがれる・低くなる |
原因
最も多い原因は「橋本病」(慢性甲状腺炎)です。免疫の異常により甲状腺が徐々に破壊され、ホルモンの分泌が減ります。その他、甲状腺の手術後やヨード摂取量の変化なども原因になります。
治療法
薬物療法:甲状腺ホルモン薬(レボチロキシン)の内服が基本
経過観察:橋本病の場合、ホルモンが正常なら経過観察のみのこともある
※ホルモン薬は毎日継続して飲むことが大切です。自己判断で中断しないようにしましょう。
検査・受診について
甲状腺の病気は「血液検査」で診断されます。主に以下の値を調べます。
TSH(甲状腺刺激ホルモン):脳下垂体から分泌される調節ホルモン
FT4(遊離サイロキシン):甲状腺から分泌されるホルモン
FT3(遊離トリヨードサイロニン):体内で活性化されるホルモン
抗体検査(TRAb・TPO抗体など):自己免疫疾患の確認
また、甲状腺の超音波(エコー)検査で大きさや形も確認します。
日常生活での注意点
| 生活上のポイント |
| ・ 定期的に通院し、血液検査を受けましょう |
| ・ 薬は自己判断で中断・増減しないでください |
| ・ 過度なストレスや疲労は症状を悪化させることがあります |
| ・ 妊娠・出産を希望する場合は主治医に必ず相談してください |
| ・ 海藻類(昆布など)の過剰摂取に注意しましょう(特に亢進症の方) |
| ・ 気になる症状が出たらすぐに受診してください |
よくあるご質問(Q&A)
Q1 薬はずっと飲み続けなければいけませんか?
A 病気の種類や状態によって異なります。甲状腺機能低下症では多くの場合、ホルモン薬を長期間(場合によっては一生)飲み続けることになります。甲状腺機能亢進症(バセドウ病)では、薬で数年間コントロールした後、寛解(症状が落ち着いた状態)に至る方もいます。担当医と相談しながら方針を決めていきましょう。
Q2 妊娠中でも治療は続けられますか?
A はい、妊娠中も治療を継続することが大切です。甲状腺ホルモンのバランスが崩れると、赤ちゃんの発育に影響することがあります。妊娠中・授乳中に使用できる薬も用意されていますので、妊娠が判明したら必ず早めに担当医へご連絡ください。
Q3 食事制限はありますか?
A 甲状腺機能亢進症の方は、ヨードを多く含む昆布・わかめ・海苔などの大量摂取を避けましょう。ヨードは甲状腺ホルモンの材料となるため、摂りすぎると症状が悪化することがあります。一方、甲状腺機能低下症の方は一般的に大きな食事制限はありませんが、ホルモン薬は空腹時(朝食前)に飲むのが効果的です。
Q4 症状が落ち着いたら通院をやめてもいいですか?
A 自己判断での通院中止は危険です。症状が安定しているように見えても、血液検査上はホルモン値が変動していることがあります。再燃(症状が再び悪化すること)のリスクもありますので、担当医の指示のもとで定期的な受診を続けてください。
患者さんへのメッセージ
| 甲状腺の病気は、適切な治療を続けることで症状をしっかりとコントロールできる病気です。
「なんとなくだるい」「太りやすくなった」「最近イライラする」といった変化は、見過ごされやすいですが、甲状腺ホルモンのバランスが関係していることがあります。一人で悩まず、気になることは何でも担当医にご相談ください。 治療は長く続くこともありますが、定期的な受診と服薬を守ることで、多くの方が日常生活を普通に送ることができています。あせらず、焦らず、医療チームと一緒に取り組んでいきましょう。 |